口腔外バキュームを導入しました

口腔外バキュームとは

口の傍に吸気口を配置して、エアタービンで歯を削ったり超音波振動で歯石を取る時に発生するエアロゾルを吸引し、診療室内の空気を清潔に保つツールです。

当院で導入した口腔外バキュームの場合、吸引したエアロゾルを含んだ空気は、集塵フィルタ、ULPAフィルタ(0.15マイクロメーターの粒子を99.9995%以上捕集)、プラズマイオン、UVライトでこれでもか!と綺麗にされて排出されます。

口腔外バキュームのメリット

新型コロナウイルスの院内感染対策として、当院では可能な限り治療の間隔を開けて患者さんが重ならないようにしています。
診療室に設置してある換気扇は4分足らずで診療室の空気を入れ替えますので、前の患者さんで発生したエアロゾルが漂っている中に次の患者さんをお通しする事はありません。
診療が終わると患者さんが触れる場所は全てアルコール消毒を行いますので、エアロゾルによって付着したウイルスで接触感染が起こる心配もありません。
治療中に発生するエアロゾルは患者さんご自身のものですので、患者さんにとって悪影響はありません。
つまりは、口腔外バキュームは歯科医師やスタッフがウイルス等を含んだエアロゾルを吸い込まないようにする為のツールです。

我々が新型コロナウイルスに感染したとしても、消毒や手洗いやマスクやフェイスシールド等、いくつも防護策を取っていますので診療を通して患者さんにうつす可能性はとても低いですが、院外で広める可能性があります。新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、広めないようにする為に自分が罹らないように配慮しているという話です。・・・もちろん、自分が罹りたくないという気持ちも強いですけど。

口腔外バキュームのデメリット

「ごめんなさい、ちょっとうるさいですよ」とか言いながら口腔外バキュームのスイッチをONにする事が多いです。「ちょっと」どころか、「だいぶ」うるさいです。
話がしにくいぐらいの騒音ですが、幸い、僕は歯を削りながらしゃべくりまくるタイプの診療スタイルではありませんので、うるさくてもあまり困りません。

写真のような物々しい吸気口が口の傍に来ますけど、これが来た時には殆どの患者さんは既に目を閉じていますので、びっくりなさる方はいらっしゃらないようです。
でも、歯を削ったり歯石を取ったりしている最中に口をゆすいでいただく際には、こいつを一旦どかさなければいけませんので、椅子を起こす動作がワンテンポ遅れます。
どかした吸気口は歯科衛生士側に行きますので、衛生士は飛び退く必要があり、それが一番のデメリットと言えるでしょうけど、前述の通り、全てがこちらサイドの都合で患者さんにご協力いただいているというのが本当のスタンスですから、飛び退くぐらいの事で文句は言えません。

ちょっと(だいぶ)うるさいですけど、ご協力お願いします。

僕が歯医者になった頃、外科手術以外でグローブをして診療している歯医者はあまりいませんでした。肝炎は怖かったですけど、グローブをするという事は患者さんを不潔なものとして扱っているという事を意味しますので、患者さんに失礼な気がしてなかなかグローブ着用に踏み切れませんでした。当時の歯学部の人体解剖時には、同様の理由でグローブを着用するのを許されていませんでした。
僕が歯医者になって暫くして、エイズウイルスの登場によって世の中の歯医者がその恐ろしさに耐えかねてグローブを着用するようになりました。
スタンダードプリコーションとか言って、「パッと見感染しているか否かが分からないし、自己申告だって当てにならないので、全ての患者さんが感染しているものとして扱うべし」という考えの下グローブ着用が当たり前になり、今では患者さんの勘違いによって「グローブしてないと清潔で無いような風潮」に助けられて気兼ねなくグローブができています。

それと同じように、口腔外バキュームの使用は、僕の中では患者さんを不潔なものとして扱うようで気が引けるのですが、このようなご時世なので感染の拡大防止に何卒ご協力をお願いします。