超音波スケーラー

スケーラーチップ

今話題の超音波スケーラー

新型コロナウイルスは飛沫感染と接触感染によって伝播し、歯科の治療には飛沫やエアロゾル発生が伴う事が多いので、歯科医療従事者の感染リスクが高いと考えられています。
中でも歯科医師よりも歯科衛生士の方がリスクが高いらしく、あくまでも想像ですが、その根拠となるのが「超音波スケーラーを使用して歯石を除去するのが歯科衛生士の役割である事が多い」という事実だと思います。

恐らくどなたも超音波スケーラーで歯石を取って貰った事があるかと思いますが、新型コロナで流行りの・・・もとい、問題視されている超音波スケーラーですので、今一度、その仕組みについて簡単に説明をしておきましょう。

超音波スケーラーとは

電気エネルギーを超音波振動に変換する超音波振動子という装置からスケーラーチップ(写真)に振動が伝わり、この細かい振動によって歯石を除去する装置です。
超音波振動を物体に当て続けると熱が発生しますので、その熱を冷ます目的と、除去した歯石を洗浄する目的で、スケーラーチップには先端に注水する構造が備わっています。一番振動が強くなるスケーラーチップ先端に水を掛けると、掛けた水は瞬時に水煙になります。皆さんご存知の超音波式の加湿器と同じ理屈です。
超音波振動子でエアロゾルを発生させて部屋の湿度を上げる道具を口の中の唾液や血液や歯石がある環境で使うわけですので、もしも患者さんが新型コロナウイルスに感染していたら、そりゃ歯科医や歯科衛生士はひとたまりもないでしょう。

今のところ歯科治療での感染報告なし

そんなリスキーな治療現場で感染が起こったという報告は、今の所ありません。
感染拡大を受けていち早くエアロゾルが発生する治療を延期するなどの診療内容の制限を掛けたおかげ、もともとマスクやグローブ着用をはじめ感染防護の観念が染みついていたおかげ、そして何より、(基本的に)体調が悪い人は歯科治療を受けに来ないし体調が悪い人の治療は行わないという前提条件のおかげであると思います。

あともう一つ、デマというか早トチリというか、「歯医者はハイリスク」という話を聞いて歯科治療に恐怖を覚えて通院を控えた方々のおかげもあるでしょう。
「歯科医院で患者さんが感染するリスクが大きい」わけではなく「歯科医師が患者さんから感染するリスクが大きい」というのが真実ですけど。

ついでにアピール

5月一杯は検診やクリーニングなど、先に延ばしても差し支えない診療は基本的に行っていませんでしたが、6月からは普通に行っています。

ちなみに、うちで使っているのは錦部(にしきべ)製作所のスケーラーチップです。
スケーラーチップが歪んでいたりすると正確な振動が発生しないらしいんですが、錦部製作所のは精度が高く振動が正確な為、歯を傷付けにくく不快感が少ない優れたものです。
また、根元あたりに注水する穴があるのが普通ですが、錦部製作所のスケーラーチップはチップの中ほどに注水孔があり、チップ先端にまんべんなく注水を行える設計です。つまり、安物よりもエアロゾルが発生しやすいわけですね・・・

錦部製作所の高品質なスケーラーチップの所為でエアロゾルが発生しやすくても、患者さんにとっては自分のエアロゾルですので感染の心配はありません。もちろん、診療室に設置してあるでかい換気扇で常時ぶんぶん空気を入れ替えてますので、次の患者さんの入室時にはエアロゾルが漂っているという事はありません。ご安心下さい。